たまには休もう


 いつも日光の当たらない所に閉じこもって、タバコの煙ハンダの煙を吸い込んでいると、
何だか、身体の中にが蓄積されていくような気がする。これじゃ〜イカン。たまには休もう。
外に出よう。

 でも近所をウロウロしてもしょうがない。近所には、いろんな店が揃っていて、いつも大勢の
客であふれている。ここだけ見ていると、景気が悪いなんてウソだろと思ったりする。とにかく、
ゴチャゴチャしている。見るだけで疲れる。駐車場に車を入れる事を考えると頭が痛くなる。

 ちょっと遠出しようと思って道路地図を広げてみると、いろんな地名があるけれど、特に用事が
なければ行くこともなかった。いままで、縁のない場所だと思っていた。わざわざ出かける必要も
なかった。そこに何があるのか、それは見たいものか、距離や時間はどれくらいかかる?
 知らない土地に出かけるのは不安そのものだった。

 ところで私は、1〜2年前から、きっかけはわからないけど廃墟に興味が出てきて、そのサイトを
あれこれ見たり、本を買いあさっていた。小学生の頃に空き屋探検をしたり、物置になっていた
学校の空き教室に入ってみて昔の品物を発掘したのも楽しかったから、もともと興味はあったと
思う。

 さすがに、不法侵入はできないけれど、せめて廃墟の近くに行って見たいと思う。その中でも
一番見たいのが軍艦島(端島)である。
 私は生まれも育ちも長崎県だけれど、恥ずかしながら最近まで端島の事を知らなかった。
同級生が高島町出身で、高島の炭坑が閉山で・・・程度の話しか知らなかった。例の端島で
ロケをした某ドラマを見たそのときも興味はなかった。本当に最近になって、あれこれ調べたり
本を読むようになった。

 さて長崎県内には、どのような廃墟があるのか。たとえば「廃墟の歩き方(探索篇)」という本を
見ると、軍艦島と、大島町の蛤診療所、崎戸町の崎戸鉱山の3つがある。

 道路地図を広げて、ルートをたどってみた。ウーン、何とか数時間で行ける距離だな・・・とに
かく行ってみよう。とにかく週末の休みが待ち遠しかった。急な仕事が入りませんようにと。


●大島町、崎戸町
 →ご参考: 大島町 崎戸町

 大村から、東彼杵、ハウステンボス、西海町を経由して、大島大橋を渡ると大島町、さらに
進むと崎戸町に着く。

 大村から東彼杵、川棚町、と走ってきて針尾橋を左折するとハウステンボスになるが、左折
せずにそのまま進んで、ポリテクセンターの近くを通ってグルッと回ってきても良い。ちなみに私は
ハウステンボスに行ったことはない。なんか入場料が高そうでイヤ。(^_^;)

 西海パールラインを通ると、地図では近道っぽいが実際にはそうでもない感じ。テンボスの道路
で、私の前を走っていた車が西海パールラインのほうに行ったが、私はそこは通らずに、江上町
宮の浦で左折してグルッと回ってきた。そして2つの道路が合流する地点で、私が直進していたら
パールラインの出口の交差点にさっきの車が信号待ちだった。私のほうが早かった。地図では
遠回りに見えるのに。

 針尾といえば電波塔で、むかし海軍が建てたコンクリートの3本の柱がよく見える。電波塔と
しては引退したが、いまだにしっかり建っているという。

 そして西海橋を渡る。この橋は赤い。
 子供の頃から、あそこは自殺の名所だと何度も聞かされていたからいいイメージがない。変な
情報をインプットするんじゃない>大人。
 景色は良い。橋の両側には歩いて渡る人たちがたくさんいた。ただ駐車場は混雑しているよう
だ。

 それから川内という所で、かなり鋭角に左折した。ちょうど小さいガソリンスタンドがその交差点
の前にある。もちろん左折せずに直進しても、遠回りになるが結局同じ場所に着く。
 左折すると西彼太田和港線という道路になる。車が1台しか通れないという事はないので、
安心して通って良いと思う。

 いよいよ大島大橋へ・・・少し手前にトンネルがある。呼子トンネルという。このトンネルを通り
ながらワクワク。
 大島大橋は真っ白で、でっかい。あいにく運転しながら撮影はできなかったが、なんか感動した。
ついに来た、というか。しかし通行料金が高い。何と普通車、片道¥700もする!!
 ちなみに自転車用の料金箱も置いてあって(無人)、¥50だった。

 (後日、撮影した大島大橋)


 寺島を経由してそのまま寺島大橋で、大島町に入る。私は左に曲がったが、もしそのまま直進
したら大島造船所に着く。

 大島町の蛤診療所だが・・・細かい道まで入って調べなかったので、結局見られず。大島総合
公園あたりの地名が「蛤(はまぐり)」というが・・・。

 私が近所のスーパーで買っている塩が、じつはこの崎戸町の製塩所で作られている。その工場
の前を通過した。

 そのまま先に進んだら、よくわからない交差点があって、直進したら親和銀行で行き止まりに
なった。おかしいなあ。左に曲がってドンドン進んだら、漁港があって、やはり行き止まりになっ
た。ここが崎戸町の端なのか????

 漁港があって、そのあたりに広い空き地があった。
 そこから炭坑の廃墟(アパート)が見えた。向こうに見える3つの建物。


 ここで地図を見直してみたが、位置がよくわからなくて混乱してきた。おかしいなあ。あの向こ
う側はどうやったら行けるのか。
 さっきの「よくわからない交差点」では、銀行の前か、この場所しか分岐できないようだった
が??何だかさっぱり不明で、ちょうど腹も減ってきたから戻る事にした。

 あとからよく調べてみたら、その「よくわからない交差点」は右にも行けて、グルッと回ると、
橋があって、そこから「炭坑跡記念公園」などに行けることがわかった。しまった!!そういえば
帰るときに、橋らしいものが見えたっけなあ。

 この島に出入りするために通行料金が¥1,400もかかったのに、何でもっと頑張って探さ
なかったんだろう!!!!
 いずれ近いうちに再度訪れるつもりである。

 それにしても、海がキレイだった。


○大島町、崎戸町 二度目の訪問
 前回、行けなかった場所を訪問しました。

 まず、廃墟の蛤(はまぐり)診療所へ。 (左:MAD、右:某○場氏)

 前回来たときは、どこなのか結局わからず終い。今回も、最初から探すつもりはなかったけれど、
普通に走っていたら、一瞬、左側に見えて、あっ、何だ、まさか・・・道路沿いにあったのか!と
いう感じ。浮いた存在じゃなくて、周囲の風景に溶け込んでいるのです。とても自然に建って
います。
 廃墟本の写真を見て想像していたイメージは、少し山の中に分け入ったような場所だったが、
まさか道路沿いにあるとは。
 「蛤団地」という、ちっちゃい看板のそばにあります。

 だいぶ過ぎた所に車を止めて、歩いて目的地へ。上の、右の写真は、歩くのがダルイと、文句
ブーブーの某○場氏。いつも自宅にヒキコモリで、タバコにまみれているので、今日は拉致して、
私の車でここまで連行してきました(笑)。

 「蛤診療所」 道路側から撮影。うーん、美しい!

 「廃墟の歩き方(探索篇)」P.220の写真とは、少し角度が違うぐらいですね。

 なんか、懐かしい感じの建物です。
 診療所と言えば、自分のイメージはこういう木造の古い建物です。待合室には老人が
多く、テレビでは時代劇の再放送が流れている、だるい午後の時間。レトロな聴診器を
持った、60才ぐらいの医師がいそうな感じ。

 横の道から観察すると・・・・・・戸が開いているのが見えました。
 念のために言っておきますが、侵入はしませんでした。無断侵入はいけません。
皆さんも、ここまでで止めておく事をお勧めします。あとは廃墟サイトや、本を見て下さい。

 道路沿いで車が通りますし、すぐ近くに民家があります。

 次は、海岸の公園で昼食です。コンビニ弁当ですが、何かいつもと違ってウマカッタ!!
 地図を広げて、次の目的地へ。


 海がキレイでした・・・。ほかに適当な表現がありません。ただ、青く、透き通っていました。


 次は、「北緯33度線展望台」へ。
 北緯といえば、38度線のほうが気になるのだが??(^_^;)
 ホテル咲き都の駐車場に車をとめて、あとは数分歩くだけです。

 前回は、道に迷って(どこで曲がるのか不明で)、行けませんでした。製塩所付近から
右折して、グルッと回っていくとは知りませんでした。銀行の所じゃありません。もっと
手前の製塩所付近から右折です。

 展望台の上からの撮影。
 左: 見下ろしたところ。ここから鳥の気持ちになって、勢いをつけてジャンプしたくなる。
 右: ホテル咲き都 風力発電の風車が2基見えます。ホテルのそばには太陽電池もありました。


 この展望台のそばには、旧日本海軍の聴音場跡があります。海底のスクリュー音を
キャッチするための施設だったようです。周囲はフェンスで囲まれていますが、中をのぞいて
みたら、ラクガキがありました(写真では、右側の壁)。品物は何も残っていないようです。


 この展望台や、ホテル咲き都で行き止まりです。来た道を戻り、炭坑記念公園へ。
 来る途中で立ち寄ろうと思ったのですが、間違って行き過ぎてしまったのです。炭坑記念
公園に左折せずに、過ぎた所で左に入ると・・・昔の炭坑住宅の廃墟がありました。
 1階の窓の上に猫が死んで?いました。

 左:案内図、右:銅像

 資料館の入場は無料です。トイレは建物内にはありません。外にあります。

 こんなのをチェックしてみたり・・・・・・。


 なかなか有意義な一日でした。


●野母崎町
 →ご参考: 野母崎町

 野母崎町(のもざきちょう)から、端島、中ノ島、高島がよく見えるという。
 まず大村から高速道路、多良見で一般道に降りて、長崎総合科学大学前を経由して、「野母
崎宿線」道路で野母崎を目指した。

 地図では大丈夫そうだったが、実際には車が1台しか通れないような細い道が続いていて、
何度も何度もバックしたり車を止めて道をゆずる事になって大変だった。本当に、どこを通って
いるのやら、カーナビがあるから良かったのだが、もし無かったら、この道で大丈夫?と不安で
しょうがなかっただろう。

 じつはこの道を通ったのは長崎市を経由したくなかったからである。とくに長崎駅前のような
ゴチャゴチャした所は避けたい。混雑しているから車線変更も容易ではない。カーナビが「間も
なく、右方向です」と言ったって、一番右の車線に入るのは無理。さらに右折だなんて、いつ
車が途切れるのか、赤信号無視で強引に右折しなきゃ行けない状況もある。無理言うなよと
思う。
 (帰りは、あの狭い道を戻るのがイヤだったので、長崎駅の近くまで来てしまった。大村への
ルートは左折して左折して、左折して、右折して、左折して左折してやっと県警本部前の道路に
到達できた。)

 最初の目的地は「樺島(かばしま)」で、その手前の「祇園山公園」で一休みした。
 向こうに見えるのが樺島大橋である。
 
 右の写真は、公園の看板「祇園山公園」と、「樺島大橋」を一緒に写したかったのであるが、
やむを得ず、左側にトイレまで写ってしまっているのである(笑)。

 せっかく樺島まで来たのだから、道が狭いけれど思い切って樺島灯台まで行ってみる事にした。

 本当に道が狭くて、やはり「野母崎宿線」と同様に苦労した。でも頑張って行った甲斐があった。
樺島灯台周辺は公園のようになっており、駐車場とトイレが備わっている。さらに灯台に関する
資料が展示されている部屋、そして展望台があった。

 展望台から見た樺島灯台、左側の建物は資料館。


 資料館は開放されていて、入場無料、とくに管理人などはいなかった。
 この資料館が実は・・・そそられるメカが色々で・・・ニヤリ。

 各地の灯台に関する展示パネル、たとえばこれは「肥前端島灯台」の解説と写真

 端島の炭坑閉山の翌年に設置された灯台である。

 (左)発動発電機  (右)空冷式真空管

 真空管はおそらく送信管で、無線機に使用されたものであろうか。

 太陽電池の制御パネル?
 文字が読めるようにしたいので、あえて大きい写真で。

 右下に「DCハンダゴテ・コネクター」というのがあるが・・・メンテ用だろうか?

 その回路図、充電制御回路のようだ。
 バリスタが入っているが、太陽電池からの雷サージの侵入対策だろう。
 ダイオードが並列にたくさん並んでいるのは何だろう。
 下の点線で囲まれた回路図は、コンパレータがあるから充電完了の検出か何か
だろうか。


 実際に点滅動作のデモをしていた電球の台座部分。

 オムロンのリミットスイッチのでかいヤツが付いている。
 電球の点灯中は、電球からジーッという音が鳴り、これが静かな資料館の中に響いていた。

 LC型灯器
 AC100Vで動作し、蓄電池をフローティング充電しながら電球を点灯、停電時には蓄電池
により電球を点灯する。cds(光センサ)により、規定の照度で点滅灯を制御。タイミングモー
ター及びカムの設定により、点滅パターンが変更できる。現用電球が切れた場合、予備電球と
自動的に切り替える仕組みになっている。(説明パネルの要約)
 
 (左)本体制御盤
 (右)右のボックスの拡大。なんてスカスカな回路なんだ!(^_^;)
    チューブラ型のケミコンなんか最近見かけない。
    日光弁装置と書いてある銘板がレトロで素敵。


 (左)中央のボックスの拡大。動作原理は見た目そのまま。カムが回って接点がオンオフ。
 (右)左のボックスの拡大。やはり見た目そのままのリレーである。


 (左)灯台用電球とフィルター
 (右)太陽電池パネル


 (左)制御盤(伊王島灯台で使用されていたもの) 萌え〜。
 (右)周波数計、それぞれの振動片が特定の周波数で動くようになっているのでしょう。
    アナログな感じで素敵です。


 (左)実際に展示デモに使用されていると思われるバッテリー
 (右)波力発電装置、どんな仕組みなのでしょう。


 (左)電球交換装置・・・現用の電球が切れたら、自動的に予備と切り替わる。
                持ちつ持たれつという感じ。オブジェとしても面白いかもしれない。
 (右)灯台の入り口、フェンス越しに撮影したもの。立入禁止。完全に無人なのでしょう。


 訪問者用のノートがあって、自分も「4/18 初めて来ました。また来たいです!!」と書い
たが、あとでよく考えたら今日は4/17・・・上の人の書き込みの日付に惑わされたらしい。

 最後に「野母崎陽の岬温泉海の健康村」付近の海岸から撮影した「端島」(軍艦島)

 実際には、思わず「アッ」と声が出てしまったぐらい、すぐにそれとわかるものであった。自分の
目で見た感じのようには写真はうつらないようだ。安物のデジカメだから望遠なんか付いていな
い。実際にはもっとハッキリ建物がわかるぐらいに見える。

 車は、温泉健康センター?の手前の道路左側に空きがあったのでそこに駐車したが、もう少し
先まで行くと十分すぎるぐらい駐車場がある。

 写真中央の島が端島、右の小さめの島が中ノ島、さらに右が高島町。風力発電の風車が
見えた。

 ふつう、小さい島は、岩や砂浜の上に木がはえていると思うが、端島はちょっと違う。いきなり
海の真ん中にコンクリートの建物が建っているように見える。軍艦に見えるから軍艦島と言う
らしいがまさにその通り。

 なお端島に関する展示が、近くの郷土資料館にあるようだ。野母崎役場方面から走ってきたと
して、総合運動公園に入るのは左折になるが、その左折するカドの部分に郷土資料館がある。
今回は見に行かなかった。

 今度は、端島に最接近してみたいと思う。いくつかの業者が、クルージング、遊覧船を運航
しているようである。
 それから長崎県内の炭坑の島としては、高島や、池島にも行ってみたい。


 おわりに

 昨日までの夢が今日は現実になる。今まであまり出たがらなかった自分だが、勇気を出して
あちこち出かけてみたら、いろいろと発見があった。プラスになった。
 実際に行ってみるまでは、あくまでも地図上の想像でしかない世界だった・・・実際に行って、
見る事は大切だと思う。ちょっとだけど、自分が少し進歩したと思う。

 開発設計の仕事でも、実際にモノを作って動かすまでは、妄想の世界なんだな。図面は描いても
それが本当に動くかどうかは、やはり作ってみないとわからない。とにかく行動じゃないかなあ。


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