物欲系 「放射温度計CT-2000D」

 たとえば、基板上の特定の部品の温度を測定したい、という状況があるだろう。たとえば
パソコンのCPUの発熱は気になるところであろう。あるいは電源レギュレータや大型抵抗の
発熱や温度もチェックしておきたい。

 指でさわってみて、ちょっと熱いなとか、さわれないぐらいだな、ってのはナシにしよう。
定量的なデータをとろう。

 仕事で、VMEボード製品などの試作評価をやった時、発熱の大きい部品の温度を測定する
という項目があった。もう10年近く前の事だが、当時どのようにやったかといえば、横河の
レトロなペンレコーダに熱電対を10本ぐらい接続して、その先端を、測定個所に固定して
温度を記録していた。

 しかしペンレコーダは準備が面倒だ。筐体に組み込んだ状態での長時間の温度測定には
良いが、別の状況で、CPUなどの温度をすぐにチェックしたい。そんな時、社内の人が、
ポケットから、デジタル温度計を取り出して貸してくれた。センサーの先端で触れれば温度
がわかる。こりゃ便利だ。欠点は、センサー自体が暖まるのに少々時間を要する事と、
金属なので、ICのピンにふれたりしないように、気を付けなければならない事だろう。

 ちなみにVMEは、バックプレーンの終端抵抗だけで1Aぐらい電気を食っている。当時の
VMEボードは、PALやら74SとかFとかASとか、アッチッチーな石ばかりギチギチに詰め込ん
でいた。
 とくに顧客の要求があって、サーモグラフィーで基板上を撮影したものがあった。現在は
CADで温度のシミュレーションができるようである。

 3スロットぐらいの筐体に、アッチッチーなボードを3枚ぐらいつっこんで、ファンを止めて
段ボールをかぶせておくと、100℃ぐらい平気で達したものである。塗料が焼けるような、
変な臭いがしていた。これはファンが停止した状況や、ホコリで通気口がふさがった状況を
想定した実験だった。

 PC−9801RXだったか、某友人が、ファンがうるさいからと切断した事があった。実際に
見せてもらうと、アッチッチで、臭いもヘンだった。ヤバイからやめろと忠告した。つけっぱなしで
外出していたのだから怖い物知らずである。

 以前、真空管ラジオを作った時、電源のフィルタ回路の抵抗は、熱くなるものだろうかと
うっかり触って、アォーッ!!アチチチチチ!!感電&火傷のダブルパンチを食らった事があ
る。
 このように、発熱を確認しようと思っても、その箇所に高電圧がかかっていたりして触れられ
ない事がある。そういう時に、「放射温度計」が便利だと思う。

 小学生の頃、大村の火力発電所を見学した。その際、案内の人が「放射温度計」で、炉の
中の温度を測定してくれた。ナルホド、こんな装置があるのかと、そのとき初めて知った。
たぶん炎の色でわかるのかなと思った。
 こんな装置は、まず一般には買えないんだろうなと思ったら、時代は変わるもんで、あれから
20年以上・・・1万円以下で手軽に買える時代となりました。

 それで先日、買ったのが(株)カスタムのCT−2000Dで、これがなかなか面白い。あちこち
測定しまくりです。
 (赤い光はレーザーです。目に向けてはいけません)

 測定は簡単で、対象物に向けてトリガーを引くだけです。赤い光の点が、測定個所を示す
目安となります。すぐに液晶画面(青色LEDのバックライト!で果てしなく格好いい!!)に温度が
デジタル表示されます。

 測定原理は、すべての物体は、温度に応じたエネルギーの赤外線を放射しているので、その量を
測定すれば温度がわかる、ということです。
 非接触ですから、対象物が高電圧キケンでも大丈夫です。食品に、温度センサーを当てるのは
衛生的ではありませんが、非接触ならそんな心配はありません。

 対象物との距離が離れると、それだけ広い範囲の温度を見る事になるので、なるべく近づけます。

 測定範囲は−30〜+550℃です。つまり冷凍庫から、はんだごて、お好み焼きの鉄板、クルマのマフラー
など色々と測定可能でしょう。
 実際、これまでに自分で測定したのは、人体、はんだごて、ハンダ吸い取り機、蛍光管、3端子レギュ
レータ、蛍光灯用インバータ基板、カレー、冷凍庫、冷蔵庫、ニッカド電池、テレビ、風呂、などです。

 これから、いろいろ作った装置の評価試験に活用できそう。

 しかし、スーパーの冷凍食品コーナーで、こいつで温度測定したら不審がられるだろうか? 白衣を
着ていれば、保健所の抜き打ち検査かと思ってビビるかな?
 あと、レストランなどで、運ばれてきた料理の温度をチェックするとか。あやしいよな・・・。

 それから思いつきですが、放射温度計が手軽に買えるようになったんだから、「簡易サーモグラフィー」
ってのはできないだろうか。携帯電話のカメラと液晶画面のイメージで考えてるんだけど。

 そういえば中学の時、業者が来て、サーモグラフィーで校舎の外壁を見ていた。たしかその前に、
テレビで、温度をみれば空洞がわかるってのを知ったんだっけな。空洞ができて割れた外壁が落下
する事故がよそで起きていたんじゃなかったかと思います。

 あのカメラって、工業技術センターでも見たが、液体窒素を必要とするようだ。果たして携帯電話
サイズの簡易サーモグラフィーは可能であろうか?


●おまけ。
 「電磁波メーター」

 ついこの前、某所から通販で買ったのだが、すぐに壊れて動かなくなった。

 なんで?ちょっと開けてみたけどわからない。この12Vのちっちゃい電池が消耗したのか?いや、
違う。一度はフタをしめて放置したが、後日、気になって、徹底的に調べた。

 ようやくわかりましたよ。電池金具のハンダ不良でした。見た目はハンダが付いているようでしたが
この金具をさわったらポロッとはずれました。


 デジカメがボロで、写真が鮮明ではないが、金具にはハンダで濡れた痕跡が見られません。
ヤニ付けみたいな感じでした。これじゃ、はずれて当然ですね!!

 ヤスリで磨いてから、予備ハンダをして、基板にハンダ付けし直しましたが、それでもハンダだけ
で固定しているわけですから、ハンダが割れてはずれる可能性があります。
 金具のハンダ付け箇所は、もう少し長目にして、基板パターンに沿って折り曲げて、しっかり
ハンダ付けしないとダメですよ!!

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