くされ電解コンデンサの研究

 故障した電子機器を分解して調べると、よく電解コンデンサが腐っている。もっと正確に
言うと、電解液が漏れている。なんでも、どれでもがそうとは限らないが、経験的には、
それが多いのは確かだと思う。その次が、ハンダ割れじゃないだろうか。

 今回は、いくつかの故障例を示しながら、駄文を書き連ねていこうと思う。

 毎度のことながら、電子部品や回路の知識がない方、自信のない方は電子機器の分解や
修理を行わないように、お願い致します。故障、火災、感電、などの危険が伴います。これは
冗談ではありません。

 いたいめに あってはじめて わかるもの ゑれきてるより こわいものなし (尚)

 ※この場合の「ゑ(え)れきてる」は、電子機器、とくに危険な電圧を扱うものを意味する。
  電気の危険性をナメていると、とんでもない事になる。

 死して屍 拾う者なし 死して屍 拾う者なし (隠密同心・心得の条より抜粋)

 ※感電して倒れても、送電ストップしない限り、助けようとした人も感電するから触れない。
  そして、周囲に誰もいなかったら、人生そこまでである。


●故障例1: スイッチング電源
・実験に使おうと思い、ジャンク箱から引っ張り出してきた電源に通電してみたが、出力
が出ない。電圧は0Vだった。いきなり出鼻をくじかれてムカツクー。

・機種名、メーカー: JAK24−R63 TDK

・原因調査と修理
 1次側の電源入力端子から、ヒューズ、ノイズフィルタ、ダイオード、電解コンデンサの
順で電圧測定をしたが、電圧は正常だった。ヒューズ切れ、ダイオード不良などは否定された。

 2次側は、どこをどう測定しても電圧はほぼ0Vだった。よって、2次側に問題がありそう
なので、そこを重点的に調べてみた。

 片面基板のため、ハンダ割れが起きやすいから、目視検査をして、少し怪しいところは
ハンダ付けをし直したが、明らかに断線しているような異常はなかった。

 1次側に小容量の電解コンデンサが2個、2次側には220μFの電解コンデンサが1個
ある。その220μFを取り外したところ、液漏れを発見した(他の2個も点検したが異常なし)。
洗浄スプレーで洗って、新たな部品と交換したが、出力は出なかった。

 くされ電解コンデンサ周辺の部品を点検。電源を切り、抵抗値をひとつずつ測定した。
その結果R57の抵抗値が明らかに異常と思われる値を示した。カラーコードでは27KΩ
なのに、とりはずして測定すると84.2KΩだった。このR57はくされ電解コンデンサの隣
にあり、見た目には電解液が浸透しているようには見えなかったが、実際には浸透して
いるようである。そのために内部が腐食して?抵抗値が上がったと思われる。

 抵抗を交換し、通電したら正常電圧が出力された。

・不良部品
 (1)電解コンデンサ C54  ルビコン、35V220μF、YXB、105℃、47
                   液漏れ
 (2)カーボン抵抗 R57  カラーコードは27KΩ、基板上で実測5.2KΩ、はずして
                  84.2KΩで明らかに異常
                  なぜ基板上で実測5.2KΩなのかは、下記の回路図を追って
                  みればわかりますね。R57→R61(ほぼ中点)→R62→GND
                  →R56→R57の抵抗値との合成。

※※※ この例では、腐食していると言ってもカラーコードは読めたから、まだマシです。
    カラーコードが読めなかった例も経験があります。同じ製品があれば、見比べると
    いう方法もあります。何も参考にできるものがなければ、回路をたどって、たぶん
    ○○KΩが相場だろうと、そういう方法もありかも?(経験無いが)
     最悪なのはプリント抵抗です。プリント抵抗というのは、家電品に一部使われてい
    るようですが、基板に直接、抵抗と導体パターンが印刷してあるものです。抵抗値は
    書いてありません。ポケットラジオと、ビデオで、プリント抵抗を見かけました。
     そのビデオが電解の液漏れで、プリント抵抗が腐食していました。修理しようにも、
    抵抗値がわかりません。切れた導体パターンはハンダで接続できません。まったく
    お手上げでした。回路図を取り寄せて、抵抗値がわかりましたので、ダメになった
    プリント抵抗のパターンを切断して、その接続先をたどって、ハンダ付け可能な場所に
    一般のカーボン抵抗をハンダ付けしました。片面板なので、スルーホールと言えないかも
    しれませんが、スルーホール状になっているところをドリルで削り取って、回路を切断し
    ました。
※※※

・基板写真
 この写真ではわかりにくいが、基板のコンデンサ実装位置には黒っぽい液が付着しており
コンデンサの底面も同様である。


・回路図
 二次側の基板パターンをたどって、回路図に書き起こしてみた。片面基板だから、簡単に
たどれる。修理の時は、こうやって回路図を書いて、動作内容を考えたりして勉強するとよい。

 今回の故障内容を、この回路図で確かめてみる。赤い字で故障個所を記入した。

 この電源はFCC方式である。
 フォトカプラIC51は、おそらく過電圧保護用、IC52は定電圧制御のフィードバック用
であろう。正常な電圧が出力されているとき、IC51の1−2ピン間は0Vだった。ツェナ
CR52の値が読みとれなかったが、これで過電圧と判断する電圧が設定されているわ
けだ。
 トランスT1の出力に、R51、R63、C51、C61が直列接続されているが、たぶんノイズ
対策用と思われる。スナバーってやつか?なぜ同じ値の部品を2個ずつ直列にしている
のか。短絡モード故障対策か?

 半固定抵抗R61で、出力電圧が調整できるのだが、R57の抵抗値が高くなった事で
結果的に、出力電圧がはるかに低いほうに設定された事になり、出力ゼロになったと
考えられる。


 同じ規格の電解が無かったから、こんなデカイのを載せてとりあえず動かしたが・・・。
(470μF/50V)

 あとで、同じ規格の電解を見つけて、交換しました。これで一件落着!


(まめちしき) ←学研のひみつシリーズを思い出す(笑)
 電解液は、見た目ではわかりにくいが、けっこう広い範囲に、うすく広がっている事があ
る。他の修理経験では、コネクタや電線の中まで浸透していた事があった。電解液は腐食を
起こすので、断線や接点の導通不良が発生する事もある。

 「おもらし」と言うか、「ゲロ」というか、とにかく、電解コンデンサだけが壊れるのではなくて
周囲に迷惑をかけて(基板パターンなどを腐食、断線させたり、端子間に潜り込んでリークさせ
たり、他の部品に浸透して腐食させたり)、その結果、機器の故障を招く。

 チップ部品やSOP、QFPの下に浸透していた事があり、これは厄介だった。見えない所で
リーク、ショートして、動作しない。いったん取り外し、よく洗浄してから再び実装する。あるいは
新品と交換する。


●故障例2: ビデオタイトラー
・某リサイクルショップ、ハ○ド○フのジャンクコーナーで¥500だったもの。
 電源は入るし、ボタンを押したりすると音がピッと鳴るが、どんな操作をしても何も表示され
なかった。タッチパネルの入力を全く受け付けなかった。

・現物の外観(左の写真)、内部基板(右の写真)


 これは1991年頃の製品で、MSXパソコンの派生品のような気がする。実際、中身はZ80と、
VDP(V9938)が中心だ。外観も、なんとなくMSXを思い出す(私は、ソニーのHB−101を所有し
ていた)。
 左側の基板がそのZ80とVDPが載ったメイン基板で、右の基板はビデオ信号処理関係だ。
上のパンチングメタルの箱は電源である。

・原因調査と修理
 まず目視検査を実施した。
 タッチパネルが動作していないようなので、コネクタのハンダなどを念入りに点検した。少しでも
あやしい所は、ハンダ付けをし直した。

 メイン基板を見ると、表面実装タイプの電解コンデンサが全て液漏れしていた。これらを全て
除去し、洗浄した後、リードタイプ(在庫の都合)の電解コンデンサを実装した。

 しかし電解コンデンサの交換だけでは動作せず、上記の写真にハンダ付けのヤニの跡が見える
が、一度、電解コンデンサの近くの部品を全て取り外し、洗浄してから、実装し直したわけだ。チップ
部品、SOPのICの下に電解液が潜り込んでいた。
 目視では、電解液が広がっているようには見えなかったが、はんだごてを当てるとジュッと音が
して、特有の臭いがしたため、油のように薄く広がっていたものと思われる。
 とくにSOPのICは、配線をたどるとタッチパネルに接続されていたため、この部分での電解液
によるリーク、ショートによりタッチパネル動作せずとなっている可能性が濃厚であった。
 幸いにして基板パターンの腐食断線は無かった。

・不良部品
 メイン基板上の表面実装タイプの電解コンデンサ全て。

・完成
 実際に動かしてみた。
 (左の写真)デモ画面、(右の写真)私がタッチパネルで書いたもの。


 ・・・・・・せっかく修理したのに、もうちょっとマトモな使い方をしなさい(笑)。


(まめちしき)
 電解液に導電性はあるのか?
 →ある。テスターで抵抗値を測定してみた。故障例1の液漏れ電解の、ゴム部分に電解液が
付着していたので、そこにテスト棒を当てたら、条件によって異なるが、ある程度の抵抗を示した。
 QFPのように、ピン間が1ミリ未満の部分では、かなり低い抵抗値を示すものと推測する。


●故障例3:パソコン
・数年前に買ったもので、ABIT社のVH6というマザーボードである。
 特に不具合は感じていなかったが、たまたまメモリの増設の際に、電解コンデンサの頭が
膨れているのを発見。よく見ると、中身がわずかに吹き出している、すなわち開弁している物
が2個あった。

 改めて検索したら、メーカーで無償修理していたらしい。知らなかったよ。それに、もう
過ぎている。
 ココ

 自分でやるしかないな。(自己責任で)

・問題箇所
 写真がヘタで申し訳ないが、電解コンデンサの頭が膨らんで、中身がわずかに吹き出して
いる。


・不良部品
 (1)EC14 1500μF/6.3V 頭が膨れ、中身が吹き出していた。
 (2)EC18 1500μF/6.3V 頭が膨れ、中身が吹き出していた。
 (3)EC29 1000μF/10V 頭は膨れていなかったが、底のゴムが膨れていた。
 (4)EC30 1000μF/10V 少し膨れていた。
 (5)C66 1000μF/10V 少し膨れていた。

 (左の写真)上記(3)のものが手前で、奥のほうは同じ部品。ゴムが明らかに膨れている。
 (右の写真)上記(1)及び(2)である。赤いインクは私が交換時の目印につけたもの。


 そして、少ししか膨れていないように見えたものでも、カッターナイフで頭の部分を突き刺したら
プシッと音がした。内部の圧力が高まっていたようだ。すなわち、友達にコーラを渡す前に振るのと
同じようなものだ。(ナンヤソレ)

 基板上への液漏れは無かった。

 本当は全部交換すべきだが(電解コンデンサそのものの不良だから)、手元の在庫の都合で、
目視で明らかに異常があるものだけ、応急処置という事で交換した。

 上の写真で、ずっと膨れたままになっているのがあったし、カッターを突き刺してプシッと音が
出たものもあった。つまり、一度、発生したガスは再び吸収されないのかもしれない。安全弁か、
ゴムがその圧力に負けて開弁するまで、ガスはたまり続けるのではないかと思う。


おまけ。
 20年モノ?と思われる、松下製の電解コンデンサ。うちのパーツ箱にいくつか眠っている。
 スリーブが水色で、昔のシリーズでしょう。


●故障例4:産業用パソコン
・私が仕事用に使っているパソコンだが、余り部品を寄せ集めて組み立てた自作マシンで
ある。マザーボードは産業用のシングルボードCPUボード、Portwell社のROBO−605と
いうもの。
 もう4〜5年は使っていると思うが、その間、ノートラブルだった。それが今日(2003年9月
13日)になり異常が発生した。前兆はあった。

 (前兆1)最近、理由もなくWindowsがフリーズした事が何度かあった。
 (前兆2)今日の朝の起動時、素直に起動しなかった。電源を入れ直したら正常になったので
      そのまま使っていた。
 (症状) 午後、仕事中に、いきなりリセットがかかって、それっきり動かなくなった。電源を
      入れ直したり、リセットボタンを何度も操作してもダメだった。HDDが壊れたかと思っ
      たが、フロッピーでも起動できなかったし、起動時のピー音も鳴らない。

・参考 ROBO−605関係
   

・現物の写真         FETにはさまれているコイツがパンクしていた↓ これは交換後の写真。


 フロッピーでも起動できなかったことから、基本的に動いていないものと考え、電源系から
調べていった。パワーサプライは正常な5Vと12Vを出力していたので、マザーボードの電源
回路を調べた。目視検査により、電解コンデンサが1個パンクしているのを発見。

・パンクしていた電解コンデンサ (右の写真は、角度を変えて撮ってみた)

 ひ・で・ぶー!! (北斗神拳)

 このコンデンサの表示は「TAYEH 1000μF 10V LE 105℃ A917」で、極性表示は
金色の帯。
 なおスリーブの一部に溶けて裂けたような痕跡があった。隣に実装されているMOSFETの
フィンの熱をモロに受けてそうなったものと思われる。

 液漏れは微量で、周囲への影響はなかった。

 コンデンサの頭に、安全弁(ミゾ)はあるが、それがうまく機能しなかったか、あるいは、ゴムの
ほうが圧力に対して弱かったか、そのどちらかだと思われる。(そりゃそうだろう)

 原因が熱なのはハッキリしている。MOSFETにはさまれて、しかもフィンに接触するかしないか
という配置だ。稼働中に、いくつかの電解コンデンサに触れてみたが、今回パンクした位置のもの
が熱くなっていた。例の放射温度計を持ってきていなかったが、さわった感じではだいたい50〜
60℃と思われる。

 この電解コンデンサやMOSFETのそばに、IDEのコネクタがあるが、そのプラスチックの部分が
少しゆがんでいた。熱によるものと思われる。

 電解コンデンサを交換したら正常に動作するようになった。HDDの内容も無事だった。これで
修理完了。
 但し、放熱対策はしていないから、また今後数年で、同じように壊れる可能性が大きい。何らか
の対策を考えよう。


・「産業用」
 ところで、産業用というのは、一般の物と何がどう違うのだろう。どういう定義なのか。

 (1)製品の長期供給
   一般の物は数ヶ月でモデルチェンジするが、産業用は、保守の必要から、同じ製品が何年にも
  わたって供給されている。実際、このROBO−605は、現在も購入する事ができるし、最新の
  カタログに載っている。

 (2)メンテナンスが容易
   ISAやPCIのスロットが並んだバックプレーンに、CPUボード、I/Oボードなどを差し込んで
  システムを構成しているから、ボードごとに交換しやすい。

 (3)ウォッチドッグタイマー
   産業用のCPUボードには、一般の製品にはない、ウォッチドッグタイマー回路が存在する。
  これにより、ハングアップ時にリセットをかけることが可能となる。

 (4)その他
   電源監視、電源の二重化、温度監視、ファンの監視、エアフィルターなどの装備。
   枯れた(安定した)チップセットの使用、信頼性の高いメモリの使用。

 しかし今回の故障は、あの部品配置から考えるとコンデンサの寿命が短くなるのは明らか
である。産業用と言っても、そういった信頼性を上げる努力はなされていないのだろうか。1枚の
ボードに必要な機能をおさめる努力だけのような気がする。

 「壊れない物なんてできっこないです。壊れたら交換して下さい。製品は今後○年間は供給
しますから買って交換して下さい。」・・・・・・という事だろうか?


おまけ。「Windows98の引っ越し方法」
 故障例4では、当初、HDD破損を心配していた。クソ忙しい時に限ってバックアップをしてい
なかった例が多い。今回もそうだった。基板設計のデータを揃えて、外注にメールで送ろうと
していた時に、今回の故障が発生した。
 幸い、原因はHDDではなく、マザーボードの修理を30分で終えて、すぐに仕事を再開する
ことができた。

 HDDが壊れると、ゼロからインストールし直すのが大変だし、丸ごとバックアップができれば
現在の設定とか、ドライバをそのまま維持できる。ゼロからインストールし直すのは、システムの
掃除という意味では利点があるが、一刻も早く仕事に復帰したいとも思う。

 かねがね、丸ごとバックアップはできないものかと思っていた。しかし実際に、HDD内の
ファイルを丸ごと別のドライブにコピーしようとしても、共有違反エラーが出て止まってしまい、
それより先に進まなかった。当時は、できないんだと思ってそれ以上、先に進もうとは思わな
かったのだ。
 いま思えば、なんてだらしない自分なんだろう。今は、できない理由を並べるよりも、どうすれば
できるのかを常に考えるようにしている。他の仕事などで、つまづいて途中でやめた例があるが、
その当時に万策尽きたように感じても、あとから考えれば、じつは、まだまだ道が残されている
のだという事に気づいた。なぜもっと必死で考えなかったのか。発想を変えなかったのか。今は
もっと柔軟に考えられる。

 人生たった一度だし、今しかできない事がある。今やらなければならない事がある。もっともっと
時間を大事にして、自分の脳ミソをフル回転して、壁をブチ破っていかなければならない!

 ワケのわからない話はこれくらいにして、今回、開発?した方法を、自分のメモを兼ねてここに
書いておく。大した事じゃないのに、最近までわからなかった。単純な事でつまづいていた自分が
恥ずかしい。


☆概要
 (これは掲示板に書いた内容ですが、再度、掲載しておきます。)
 先日、ブックPCのHDDがたまに変な音をたてるようになったので、新しいHDDに引っ越しを
しました。CD−ROMドライブをはずして新しいHDDを接続し、単純にコピーすると、win386.swpの
コピーで共有違反になり中止になります。仮想メモリを使わない設定にすれば、win386.swpが
存在しないから、丸ごとコピーができますね。
 新しいHDDは、あらかじめWindows98の起動フロッピーからFDISK、フォーマット、SYS C:をして
おいて、つなぎかえてから以前のHDDの内容を丸ごと(隠しファイルも含めて全て)コピーすれば
引っ越し完了!でした。

☆条件
 物理的に1個のHDDを、パーティションでC:、D:のように分けているとか、複数のOSをマルチ
ブートしているとか、そういうのは、ここに書いてある手順が適用できないと思います。メンテを容易
にするには、そういう遊びをしない事です。単純に、物理的に1個のHDDは論理的に1つのドライブで
扱い、OSはWindows98しか入れていない、というのがここに書いてある手順の対象です。

☆手順
(1)新HDDを初期化するために、現在のHDD(以下、旧HDDと呼ぶ)を取り外します。
 当たり前ですが電源を切り、10秒ぐらい待ってから筐体を開けます。電源を切った直後は、
HDDが惰性で回っており、衝撃を与えると傷がついて使えなくなります(経験あり)。貴重な内容の
入ったHDDですから、バックアップ終了まで、取り扱いは厳重にします。

(2)新HDDを取り付けます。
 旧HDDを取り外し、その代わりに新HDDを取り付けます。ジャンパーはマスター設定にします。

(3)新HDDを初期化します。ブート可能にします。
 Windows98の起動フロッピーで起動して、新HDDに対し、FDISK、FORMAT、SYS C:を
します。注意として、FORMAT/SによってFORMAT、SYS C:の手順を省こうとすると、メモリ
が足りないと文句を言われますから、FORMAT、SYS C:の手順をひとつずつ行います。
 FORMATの時に、ボリュームラベルを聞いてきますが、たとえば20030908のように、交換した
日付にするのも良いかもしれません。

(4)新HDDは起動可能か?
 電源を入れ直し、新HDDでDOSが起動するか確認します。起動してプロンプトが出ればOK。

(5)新HDDをコピー先にするために、スレーブに接続します。
 電源を切って、CD−ROMドライブを取り外し、そこへ、新HDDを付け替えます。ジャンパーは
スレーブ設定にします。これはブックPCで、プライマリしか無く、マスターがHDD、スレーブがCD−
ROMという構成の場合です。他にHDDをつなぐ口がないから、CD−ROMを取り外すわけです。

(6)旧HDDは、もとの状態のように、マスターに接続します。

(7)電源を入れ、起動します。

(8)マイコンピュータまたはエクスプローラで、新HDDがD:に見えるか確認します。

(9)全てのファイルをコピーするために・・・。
 マイコンピュータまたはエクスプローラの設定で、フォルダオプション、表示、すべてのファイルを
表示する設定にしておきます。C:¥などには隠しファイルがあり、これらも漏らさずコピーする必要が
あるからです。

(10)win386.swpの共有違反を発生しないために・・・。
 マイコンピュータ、右クリック、プロパティ、パフォーマンス、仮想メモリ、自分で設定、仮想メモリ
を使わない、にします。再起動を求められますので、それに従います。

(11)丸ごとコピー!
 再起動後、マイコンピュータまたはエクスプローラで、コピー元(旧HDD)C:と、コピー先(新HDD)
D:のウィンドウを開きます。C:¥で、すべて選択、コピー、D:¥で、貼り付け、とします。これでコピー
が開始されます。あとは終わるのを待つだけです。寝て待てば宜しいでしょう。

(12)あとから書くのもどうかと思いますが、ソフト、そして常駐のものも可能な限り終了させておいて
から(11)の手順を実行するのが無難かと思います。

(13)確認!!
 ファイルが全てコピーされたか確認します。単純にドライブ容量の比較では、内容が一致してい
ても数値が一致するとは限りません。ファイル数で確認します。慎重に、フォルダひとつずつのプロパティ
を開き、ファイル数がそのフォルダのC:のものとD:のもので一致していること。

(14)電源を切り、10秒待ってから、旧HDDと新HDDを入れ替え、ジャンパー設定、そしてCD−ROM
ドライブを元通りに取り付けます。プライマリマスターが新HDD、プライマリスレーブがCD−ROMです。

(15)電源を入れて、正常に起動するか確認します。正常ならば、作業終了です。(10)の仮想メモリの
設定は元に戻してください。


 実際に何度もやりまして、問題はありませんでしたが、保証はできません。自己責任でやって下さい。

 ソフトによっては、HDDのボリュームシリアル番号をチェックする場合があります。MAX+plusIIの
お試し版がそれではなかったかと思います。このソフトの場合はLANカードのMACアドレスで登録
する方法も選択できますので、今後はMACアドレスにするとか、対策をとって下さい。

 丸ごとバックアップは、コピー先がカラッポの状態でコピー元からファイルをコピーすると、頭から順番に
書き込まれますから、デフラグのような効果があります。

 それと、ブック型では困難ですが、プライマリのマスタとスレーブにHDDを備えて、定期的に、
マスタからスレーブ(C:からD:)に丸ごとバックアップをしてやれば、マスタが壊れた時にサッと
入れ替えて、すぐに仕事に戻れます。
 ただ忘れてはいけないのは、スレーブのHDDはあらかじめ起動可能な内容にしておく事です。(3)の
手順を参考にして下さい。

 ブック型でも、LANを利用するからCD−ROMは通常使わないだろうという考え方もあります。CD−
ROMの代わりに、HDDを入れてバックアップ用にしても良いでしょう。


●故障例5:不治痛デスクパワー CE7/85L
・たまたまメンテで、HDDの入れ替え作業をしていたら、電解が噴いているのを発見!
 見て見ぬふりはできません。予定外の作業が増えてしまった。

 交換したのは、TC31(1500μF/6.3V)、TC30とTC9(1000μF/6.3V)です。
 水色の物のメーカーはYECでした。





 ハンダ吸い取り機でズズーッと吸って、不要なマザーボードから移植して、ハンダ付けして・・・
ついでに、たまっていたホコリを掃除して、インストールが全部終わったのは午前3時でした。

 上の3枚の写真で共通しているのは、いずれも発熱部品の近くにあるという事でしょう。上の
2枚はレギュレータの近くだし、下のはCPUとチップセットの放熱板にはさまれて暑そう。誰でも
暑苦しいヤツの隣には居たくないもんです。

 そして、ブック型、コンパクト型という事で、小さい筐体に詰め込まれているために、基本的に
暑苦しい環境にあるわけです。電源ボックスのホコリをとろうと思ったのですが、ギッシリ詰まっ
ていて、他の作業を優先するために分解はしませんでした。とにかく詰め込みです。寿司詰め
満員電車で、冷房があまり効かない状態を想像すると宜しいでしょう。

 キッチンのテーブルに、液晶モニタとオシャレなコンパクト筐体、そんな広告イメージが
ありますが、その現実はコレです。有名な、台湾製電解コンデンサの問題が今回は大きかった
と思いますけれど・・・。

 私も小さいパソコンが好きで、古くはPC−9801UV11、PC−486SE2、などを使っていま
した。(もっとも、この当時はそんなにギチギチに詰めてなかったと思いますが)

 「BOOK−PC BK630eの電源メンテナンス記録(0067内)」にありますが、電解コンデンサ
は発熱部品から離すべきなのにそのスペースが無く、熱せられてしまうから、寿命が短いという
例があります。

 それと、電解コンデンサを取り外した時によく見たら、複雑な信号パターンの上にまたがるよう
にして配置されていました。これも小型化ゆえ、やむを得ないのでしょうか。電解コンデンサの
下にはパターンを引かない、というのは鉄則です。私はプリント基板の会社で習うよりも前に
パターン腐食の例を見て知っていました。現実を知っていれば、こんなバカな設計はできません。
しかし小型化が優先されているので、パターンを迂回させる余裕はなかったのでしょう。
 今回は基板への液漏れはみられませんでしたが、運が悪ければ、電解コンデンサがションベン
をもらして基板がクルパーデンパ(意味不明)です。


●故障例6: 人が近づくとランプが光るモノ

 ・職場で、誰が持ってきたのか分からないが、動作しない為に放置されていたもの。


 まず目視で不良個所がないか調べた。すると、この電解コンデンサの頭の部分に
異常があった。サビのような色をした汚れが付着していた。液漏れか?
 開弁した痕跡は、少なくとも頭の部分には認められない。


 チューブをはがして、さらに調べた。底のカシメ付近に傷を発見。

 裂け目がわかるだろうか?長さ約2ミリ、幅は0.2ミリぐらい。
 ここから電解液がしみ出していたと考えられる。



 チューブの裏側をよく見たら、液が流れたような跡が確認できた。毛細管現象
で、全体に液が回り、頭からしみ出していたのだろう。


 あくまでも推測だが、この電解コンデンサの製造段階で傷がついたと思われる。
チューブ自体には傷が無いので、基板実装時の取り扱いで傷が付いたのではない。
カシメに問題があるのか、アルミケースに薄い部分があったのかわからないが、
品質管理に問題があるのは確かだろう。

 この電解コンデンサのメーカーは、SAMXON
 容量と耐圧は、470μF/10V

 電解コンデンサのテストは、テスターの抵抗レンジでは限界があります。この不良品
も、テスター棒をあてると、針がビョーンと0Ω側に行ってまた戻ってきました。テスター
の抵抗レンジでは、オープンか否かの判断ぐらいしかできません。
 (テレビの電解コンデンサで、ドライアップ不良になっていたのはピクリとも針が振れ
なかったのを覚えています。これはオープンですね。)

 何か、良いテスト方法がないものかと検索してみましたら、コンデンサチェッカーと
いうものが売られているのを見つけました。
 川島オーディオサービスさんのサイトの中の、ココに紹介されています。

 いろいろと詳しく書いてありまして、「容量計で正常値を示す不良コンデンサもある」
との事でした。紹介されているコンデンサチェッカーは、ESRを測定して良否判定をする
ものです。

 ところで、さっきの電解コンデンサが、回路の中でどのような働きをしていて、不良
だったらどのような悪影響があるのか。このことを確かめないで、修理をしたとは言え
ないと思います。

 ただ、ICの型番が削ってあり、それぞれのピンにつながっている回路から想像して
だいたいこんな回路だろうか、というレベルでしかわかりませんが・・・。
 ICは、たぶんLM324あたりではないかと思いました。電源が中央ピンあたりに入っ
ているからです。しかしプラスマイナスが逆のように見えました。違うのかもしれません。

 過去の経験では、ICそのものの型番は削ってあるのに、ICのハンダを除去して取り
外してみると、基板に型番シルクがしっかり書いてある、という例がありましたが(笑)。

 いま、ちょっと気合いが入らないので、細かくバラすのはやめておきます。それより
応用したくなってきました。さっそく、応用をひとつ思いつきました。

 それはトイレの自動スイッチです。トイレに人が入っていれば、こいつの赤外線センサ
が反応するはずです。人間ですから、いつまでもジーッとしているわけでもないだろうし、
動きを検知するたびにタイマーをリトリガーして、時間を延長しながら電灯を光らせていれ
ば良いと思います。

 別に、トイレに入ってきた瞬間に検知して、そこから単純に5分タイマーで電灯を光らせ
るという手もありますが、ウンコに5分以上かかる人もいるかもしれませんが?(笑)
 だから、やっぱり最初の案でいこうと思います。

 トイレの電灯は、こまめにON/OFFする習慣が身についていれば問題ないのですが
みんながそうではありません。つけっぱなしはもったいないですね。それなら自動化すれ
ば良いじゃないかと。

 検知するたびに3分ぐらいずつタイマー延長すればいいかな?

 あっ、それと、何分以上はウンコと判断して(笑)、その場合は換気扇を一定時間回す
というのはどうだろう。


***以下、何か修理したら追加します***













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