aitendoさんの2バンドFMラジオキットK-FM3TR-HLDを購入したので作ってみた。回路図から超再生検波に簡単なアンプで構成されているラジオだと判る。

- バリコンがなんとAM用の160pFである(回路図では30pF)。しかし商品ページではFX223-160/80となっているので届いた部品が間違っている訳ではではなさそう。納得が行かないので手元にあったHW443DF-2CAを使うことにする。
- 電源スイッチの基板パターンは3穴だが、スイッチは5本足なので本体を保持する2本を切断して実装する必要がある。

- 回路図ではトランジスタS9011のピン配列がECBとなっているが、現物はEBC配列。基板パターンもEBC配列なのでこれは問題なし
- トランジスタQ1としてS9018が指定されているが、他のトランジスタに交換出来るようにここだけは丸ピンICソケットを付ける
- コイルは0.8mmのエナメル線だが、基板の穴が小さく入らないので1mmのドリルで穴を広げる必要があった
- バリコンのダイアルは基板の裏面に出るが、電池BOXを取り付けると縦置きが出来る

- TA7642ラジオで使ったイヤホンを差して電源を入れるとプツプツという音しか聞こえない。しかしバンド切り替えのSWをAir側にしバリコンを右側へ回すとサーっという超再生特有のクエンチングノイズらしき音が聞えた。しかし、
- バンド切り替えをFM側にするとサーっという音は消えて、プツプツというモーターボーティングの様になってしまう。
- サーっという音はAir側で且つバリコンの右側半分程度(周波数の高い側)しか聞こえない。
- TinySAのSGで電波を出してみると108MHz~129MHzは聞こえている(AMもFMもちゃんと聞こえている)。
- コイルは密着状態なのでこれより低い周波数にチューニングさせる事が出来ない。
- バリコンを30pFに変えている状態でこの有様なので、同梱されていた160pFのバリコンを使っていたらどうなっていた事だろうか。
- 超再生検波回路のベースとアース間のコンデンサが10uFの電解コンデンサという定数はこれで良いのだろうか。プツプツという音はこれが原因ではなかろうか。
- 最初に疑ったのはQ1のS9018。ソケット化してあるので先ずはお決まりの2SC945へ換装するとプツプツ音の問題は解決され77MHz~95MHz程度が受信出来るようになった。アンテナが無い状態でもなんとか近隣のFM放送を聞くことが出来た。そこで手元にあるトランジスタを色々と差し替えて良さそうなトランジスタを探すことにする
- VHF用のトランジスタ バリコンが入るとプツプツ現象が発生。チューニング範囲は半分程度で周波数が高くFM放送は聞えない
- 2SC1096(167) 2SC1923-Y(140) 2SC1923-R(51) S9018(138)
- 昭和の時代でFM用といったらコレ 2SC838はプツプツ現象が低い方で発生した。
- 一般用のトランジスタ 特に問題なし ピンの並びがECBなので差す時に足を曲げる必要あり。周波数の高い方は少し音が小さくなる。
- 2SC454(211) 2SC536(428) 2SC945-Q(284) 2SC1815-O(94)
- 珍しい 金属ケースで足の並びがEBC
- 2SC538(213) 問題なく75MHz~99MHzの受信が可能。今回はコレに決定

- 商品ページにあるように特にアンテナを付けなくても近隣のFM放送の受信が可能
- 音量調節は出来ないが、イヤホンで聞いた時の音量が丁度よい。
- Aintendoさんは今や数少ないラジオキットが買えるSHOPであり感謝する。
- しかし完成させた後に実用化させるには一工夫が必要だったりする。
- 超再生式ラジオを専用のプリント基板で作ったのは初めてだが。ユニバーサル基板と違って出来上がりも綺麗でケースに入れなくても取り回しが良い。
2SC538 超再生検波FMラジオ
- 回路図と商品ページでは部品番号や定数が一部異なっているので手元の回路図を修正した。
- これによって 2SC945,2SC829,2SC1923,S9018のどのトランジスタでもバリコンの下側~上側,バンド切り替えスイッチをFM側にしてもプツプツという音が出る現象は止まった
- しかし2SC1923とS9018では放送局を受信するとピーッと寄生発振を起こしてしまう。これを解決するにはトランジスタをシールドすると治る
- 2SC828Aという松下の一般汎用トランジスタも中々感度が良かった。
- 結局トランジスタは2SC538を使っている。データシートはあるがftは180MHzと高周波特性が特段優れている様には思えない。多分、一般的な汎用トランジスタのCANパッケージ品なだけではないかと。